私が大学受験を決意したころに八十二銀行の営業が我が家に来ていた。その営業のSさんが私の発破をかけた。Sさんは東京の中規模の予備校に通って旧帝大の法学部卒である。


　「おえ、受験するとなると、1日18時間はするもんだ。僕もね18時間したよ。叔母さんちに泊り込んで。できるよ。食事が30分、睡眠4時間半なら」

私はSさんのように勉強をしようと思った。当時は予備校の自習室や図書館を活用していたが18時間はできないと思った。そこで、信州に親の所有する別荘があったためそこで「山篭り」をすることにした。初日はきれいに掃除をして、１週間分買出しに行く。11時に寝て3時半に起床。信越放送のラジオでは「歌うヘッドライト」。放送が終わると、長野県歌「信濃の国」がかかっていた。いつの間にか覚えてしまった。

町への買出しのときは午前中が全部つぶれてしまう。それが生き抜きになった。最終日は松本まで足を伸ばした。レンタサイクルを借りて信州大学医学部を見に行ったものだった。充実した達成感と目標大学が目の前にあった。モチベーションを最高にして、すぐにはじまる予備校の2学期に備える。帰りは普通列車で帰って、車内で最終確認の勉強をする。

当塾の合宿の長時間継続勉強は、ここにルーツがある。ゆえにどこにも誰にもまねができない。経験者である私が自ら考案した方法だからである。合宿の翌日は達成感のためモチベーションが高いため決して授業は休ませない。そして更なる進歩があるのだ。

合宿の目標は学力アップや苦手を克服するだけではない。達成感を持てることである。これによってモチベーションは最高潮になる。