１浪の夏前だった。

　家に出入りしていた銀行さんと勉強の話をしていた。

　この銀行さんは東北大法学部卒、長野県出身だが都内の当時は中規模予備校に通っていたそうだ。

　「１日何時間勉強できる？」

　「・・・・・」

　「１８時間だ。だって睡眠４時間半、食事３０分×３．さし引いて１８時間」

　この銀行さんは夏休みに帰省をして近くのおばの家に住み込んで勉強をしていたそうだ。

　「俺もやってみる」

　私は予備校の夏期講習は１期だけ選択して終了した翌日に青春１８切符を往復分の２枚買って普通列車に乗り込んで信州の別荘に向かった。

　自動車免許もない高校時代。買い物は足で山を下るか近所の病院の送迎バスに小さくなって買い物に行くしかない。足で下ると食材を持って山道を２時間近く歩かないといけない。病院のバスも１５時で終わる。路線バスは廃止されている場所であった。

　食材を１週間分を買い込んで山篭り。事情を話して心ある人に時々送迎してもらったり、ヒッチハイク（必死？ハイク？？）をしたりといろいろなはじめての経験をした。携帯もない時代なので実家の親には近所の家に電話を借りるか病院の公衆電話まで下りるしかない。

　炊事、洗濯、掃除も自分でした。１日１８時間まではいかなかったと思うが、自分では充実していた。９月の予備校がはじまる前日まで山にいた。帰りは自分で山を下りた。山道、渓流、森の香、鳥のさえずり、信州の早い秋の空・・・。帰りの電車でも勉強。人生で最高に充実した夏休みであった。

　こんな夏休みをみなさんも送れるようにいろいろな面で協力をしていきたい。

　いよいよだ。