正月は兎角誘惑が多い。特に受験勉強をはじめた高２はこの正月がモチベーションを左右する。

　勉強をはじめたときは新鮮で頭にもよくはいる。目標大学があればなおさらだ。

　私も高校２年の冬の学期末試験明けから本格的に勉強をはじめた。試験休みで1日12時間は勉強をした。家庭教師の先生のあった本郷東大前に行くときは単語帳を持って地下鉄に乗った。

　やる気が出た理由は苦手な数学（微積）をしなくても医学部にいかれることを知ったからである。センター試験で取れればどうにかなることがわかった。

　そんな中で年末も勉強、正月は箱根駅伝。この駅伝がいい影響だった。大学名をまとって走る学生の姿は受験への意欲を掻き立てた。この勉強がまとうゼッケンを決めると思ったのだ。

　そんな中で中学時代のパシリ仲間からひさびさに電話が来た。高校を中退して父親の会社で働いているというのだ。彼の地元まで行くことにした。単語帳をもって地下鉄に乗った。

　時代はバブルの直前で景気が良く、彼も景気が良く、女にももてた。良い服をきてそんな話をする彼をみていろいろ考えた。

　「学歴なんか必要ないんとちゃうか？」と考えたり、「医者にならんとあかん」と思ったりいろいろ悩んだ。勉強からは遠のいていった。結局、代ゼミに入るまで受験へのモチベーションは上がらなかった。

　少しのことでもメンタルやモチベーションに影響する。大人はこうなったときに子どもの羅針盤にならないといけない。

　私みたいになった生徒さんをどうにかしたい。

　勉強をはじめたばかりの高校２年生は正月を無事に超えて欲しい。